『耳をすませば』に出てくる坂道や、丘の上の住宅街。あの街を実際に歩いてみたいと思ったら、どこへ行けばよいのでしょうか。
アニメ映画『耳をすませば』の街並みをたどるなら、東京都多摩市の京王線・聖蹟桜ヶ丘駅周辺が中心です。多摩市も、映画の背景はこの地域を大いに参考に描かれたと案内しています。
ただし、映画の街が、現実の聖蹟桜ヶ丘とまったく同じ配置になっているわけではありません。実際の風景を参考にしながら、物語のために組み立てられた街として捉えると、現地との違いも楽しめます。
この記事では、1995年公開のアニメ映画を対象に、聖蹟桜ヶ丘と作品の関係、駅前のモニュメント、いろは坂などの散策スポットを紹介します。2022年公開の実写映画のロケ地とは分けて整理します。
出典:多摩市公式「映画『耳をすませば』は聖蹟桜ヶ丘駅周辺を大いに参考に描かれました」
『耳をすませば』の聖地・聖蹟桜ヶ丘はどこにある?
聖蹟桜ヶ丘は、東京都多摩市にある地域です。映画にまつわる街歩きの出発点になるのは、京王線の聖蹟桜ヶ丘駅。読み方は「せいせきさくらがおか」です。
駅周辺から住宅街へ向かうと、坂道のある地形が広がります。この高低差が、『耳をすませば』の街並みを考えるうえで大切な特徴です。
映画では、雫が歩いたり走ったりする道に、坂や階段が登場します。建物だけでなく、上った先で視界が変わることや、道が曲がって先が見えなくなることも、あの街の印象を作っています。
映画の舞台は、実在の街を参考にした架空の街
日本テレビの制作紹介では、主に参考にしたのは聖蹟桜ヶ丘駅周辺であり、東京近郊の架空の街がイメージだと説明されています。また、雫の家の最寄り駅については、当時の百草園駅も部分的に参考にしているそうです。
そのため、作中の駅や道を、現実の一か所だけに当てはめようとすると、合わない部分が出てきます。
聖地巡りでは、画面と完全に同じ場所を探す楽しさもあります。ただ、この作品では「雫が暮らしていそうな街の空気」を感じながら歩くことにも魅力があるのではないでしょうか。
坂を上ったときの息の上がり方や、住宅街からふと見える遠くの景色。そういう感覚まで含めると、映画の中で雫が移動していた距離を、少し身近に感じられそうです。
聖蹟桜ヶ丘駅西口の「青春のポスト」から出発する
最初に立ち寄りたいのが、聖蹟桜ヶ丘駅西口にある「青春のポスト」です。
これは映画の中に登場した設備ではなく、『耳をすませば』の世界観を表したモニュメントです。地球屋をモチーフにした姿が、街歩きの始まりに作品を思い出させてくれます。
多摩市の案内によると、地元の商店会やファンで構成される「せいせき観光まちづくり会議」によって設置されました。
夢や目標を書いた手紙を投函できる
青春のポストには、夢や目標などを書いた手紙を投函し、その実現を祈ることもできます。
雫や聖司が、まだ結果の分からない夢に向かって動き始める作品だからこそ、この仕組みには映画とのつながりが感じられます。
大きな目標が決まっていなくても、「これから何をしてみたいんやろ」と考えるきっかけにはなるかもしれません。作品の登場人物を思い出す場所であり、自分のこれからにも少し目を向けられる場所です。
なお、通常の郵便物を送るためのポストとは用途が異なります。利用するときは、現地の案内を確認してください。
隣の散策マップで、歩く範囲を確認する
モニュメントの横には、聖蹟桜ヶ丘散策マップの掲示板があります。初めて訪れる場合は、ここで道のつながりを確認しておくと、その後の散策を組み立てやすくなります。
坂のある街なので、地図上では近く見えても、平らな道と同じ感覚では歩けないことがあります。先に行きたい場所を決め、途中で休める余裕を持たせておくとよいでしょう。
いろは坂通りは、映画の坂道を思い起こさせる場所
駅から丘の上へ向かう散策で、押さえておきたいのが「いろは坂通り」です。多摩市も、『耳をすませば』の劇中シーンを思い起こさせる場所の一つとして紹介しています。
道が曲がりながら上っていく地形は、映画の街が持つ奥行きを感じる手がかりになります。
雫にとって、坂道は毎日の生活の中にある道です。しかし、映画をきっかけに訪れる側にとっては、その普通の道が特別な風景になる。この違いも、聖地巡りの面白いところでしょう。
出典:多摩市公式「桜の見どころ」いろは坂通り・いろは坂桜公園
途中のいろは坂桜公園で、ひと息つく
いろは坂通りの途中には、「いろは坂桜公園」があります。所在地は、多摩市桜ヶ丘4丁目33番地9です。
多摩市の施設案内では、聖蹟桜ヶ丘駅から歩いて約10分とされています。ただし、所要時間は歩く速さや信号、立ち止まる回数によって変わります。
公園には駐車場がありません。駅を出発点にして歩く場合は、坂道の途中で休憩する場所の一つとして考えられます。
春の桜も市の見どころとして紹介されていますが、開花状況は年によって異なります。花を目的に訪れる場合は、その年の情報を確認してから出かけましょう。
歩くときは、映画の雫のように走りたくなっても、足元と周囲を優先したいところです。坂道や階段のある生活道路なので、撮影するときも通行を妨げない場所で立ち止まりましょう。金比羅宮と桜ヶ丘ロータリーも、聖地巡りの立ち寄り先
いろは坂周辺から、さらに丘の上の街並みをたどるなら、金比羅宮と桜ヶ丘ロータリーも候補になります。
多摩市が公開している街歩きの資料でも、聖蹟桜ヶ丘駅から青春のポスト、いろは坂通り、金比羅宮、桜ヶ丘ロータリーなどを巡るコースが紹介されています。
金比羅宮|住宅街の中にある小さな神社
金比羅宮は、多摩市の観光マップでも紹介されている、住宅街の中の小さな神社です。
映画では、雫と杉村、夕子の関係が動く場面に神社が登場します。日本テレビの制作紹介でも、この場面の作画で参考にした神社が実在すると説明されています。
ただし、現地にあるものすべてが、映画の画面と同じとは限りません。神社の規模や階段、周囲の住宅街との距離感に目を向けると、作品の場面を思い返しやすいでしょう。
観光施設として整えられた場所だけを巡る旅とは違い、地域の暮らしや信仰の場を訪ねることになります。参拝や通行を優先し、撮影する場合も周囲への配慮を忘れずに歩きたいところです。
出典:多摩市公式「多摩市観光マップ」/日本テレビ『耳をすませば』制作紹介
桜ヶ丘ロータリー|地球屋を思い出す街並み
桜ヶ丘ロータリーも、映画にまつわる街歩きで訪れたい場所です。道が円形につながる風景は、雫が猫を追った先でたどり着く、地球屋周辺の街並みを思い起こさせます。
ここで気をつけたいのは、ロータリーを訪れれば、映画の地球屋がそのまま建っているわけではないということです。
実際の街並みを参考にした場所と、作品に登場する建物そのものは分けて考えましょう。「地球屋はどこだろう」と建物だけを探すより、道の形や丘の上の住宅街の雰囲気を眺めるほうが、この場所の魅力を感じやすいかもしれません。
映画では、その先に何があるのか分からない道を、雫が猫について歩いていきます。現地でも、駅前から坂を上ってここまで来ることで、あの出会いが少し遠い場所で起きた出来事だったと実感できそうです。
初めてなら、駅からいろは坂を経てロータリーへ
初めて聖蹟桜ヶ丘を歩く場合は、駅を出発点にして、丘の上へ順に進むと場所の関係をつかみやすくなります。
以下は、前半で紹介した場所と、多摩市の街歩き資料をもとに組み立てた散策順の一例です。公式ツアーの案内ではなく、自分のペースで歩くための目安として使ってください。
| 順番 | 立ち寄る場所 | 見ておきたい点 |
|---|---|---|
| 1 | 聖蹟桜ヶ丘駅西口 | 青春のポストと散策マップを確認 |
| 2 | いろは坂通り | 坂やカーブのある地形を感じる |
| 3 | いろは坂桜公園 | 途中で休み、周囲の風景を眺める |
| 4 | 金比羅宮 | 住宅街の中にある神社を訪ねる |
| 5 | 桜ヶ丘ロータリー | 地球屋周辺を思わせる道の形を見る |
写真を撮る回数や休憩によって、必要な時間は変わります。帰りの予定を詰め込みすぎず、坂道をゆっくり歩ける余裕を持たせるとよいでしょう。
移動には歩きやすい靴を選び、暑い日は飲み物も用意しておくと安心です。坂を上ること自体が散策の一部なので、疲れたら途中までで切り上げても、十分に街の雰囲気を楽しめます。
地球屋やラストの丘は、現実の場所と混同しない
『耳をすませば』の聖地を調べると、地球屋や、雫と聖司が朝日を見る場所についても気になるでしょう。
しかし、映画の街は、複数の風景を参考にした架空の街です。作中で近くに見える場所が、現実でも同じ順番や距離でつながっているとは限りません。
日本テレビの制作紹介では、ラストシーンのロケハンが、よみうりランドの鉄塔の上で行われたことも紹介されています。これは制作時に景色を調べた場所の情報であり、一般の人が同じ場所へ立ち入れるという案内ではありません。
撮影や作画の参考にした場所と、現在自由に訪問できる場所は、分けて確認する必要があります。
住宅の敷地や、立入禁止の表示がある場所へ入ってまで、画面と同じ景色を探す必要はありません。公開された散策ルートや公園から、自分の目で見られる風景を楽しむ。それでも、映画と現実のつながりは十分に感じられるはずです。
聖蹟桜ヶ丘を歩くと、映画の日常が少し身近になる
『耳をすませば』の街の魅力は、特別な出来事だけが起こる場所として描かれていないところにもあります。駅があり、店があり、家に帰るための坂道があります。
雫にとっては、進路に迷い、友達と話し、家族のもとへ帰る日常の街です。その中で、猫を追いかけたことが、新しい出会いにつながっていきます。
聖地を歩く楽しさも、有名な場面の位置を確認することだけではないでしょう。坂の先にどんな景色が見えるのか、駅から住宅街までどんなふうにつながっているのか。自分の足で確かめることで、登場人物の暮らしに少し近づける気がします。
何でもない道でも、好きな作品と重なると、見え方が変わるんよな。映画をきっかけに出かけて、帰るころには、その街自体にも親しみが生まれている。そんな散策になれば、画面と違う部分も旅の思い出になるのではないでしょうか。
まとめ|『耳をすませば』の聖地巡りは聖蹟桜ヶ丘駅から
アニメ映画『耳をすませば』の街並みは、東京都多摩市の聖蹟桜ヶ丘駅周辺を大いに参考に描かれました。駅西口の青春のポストを起点に、いろは坂通り、金比羅宮、桜ヶ丘ロータリーなどを訪ねると、作品を思わせる風景に出会えます。
映画の街と現実の地図は完全には一致しません。モデルとなった風景をたどりながら、聖蹟桜ヶ丘そのものを楽しむのが、この聖地巡りの魅力です。
地域の人にとっては、今も日々の暮らしが続く場所です。道や住宅街を静かに歩き、気になった景色の前で少し立ち止まる。雫が見つけた街の奥行きを、自分のペースで感じてみてください。

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