『猫の恩返し』を調べると、一緒に出てくる『ギブリーズ episode2』というタイトル。「これも猫の話なの?」「続編や番外編なんやろか」と、関係が気になるかもしれません。
結論からいうと、『猫の恩返し』と『ギブリーズ episode2』は、それぞれ独立した別作品です。2002年7月20日に、映画館で同時上映されました。
『猫の恩返し』の監督は森田宏幸、『ギブリーズ episode2』の脚本・監督は百瀬義行。物語の主人公も舞台も異なり、前編・後編の関係ではありません。
ただ、一緒に劇場公開され、DVDやBlu-rayでも2作品をまとめた商品が出ているため、タイトルを並べて目にする機会があります。この記事では、同時上映という関係と、作品の内容・上映時間・制作スタッフの違いを整理します。結末のネタバレは扱いません。
『猫の恩返し』と『ギブリーズ episode2』は同時上映された別作品
同時上映とは、別々の映画を組み合わせて上映すること
今回の「同時上映」は、同じ画面で2本の映画が同時に流れるという意味ではありません。映画館で、2つの作品を組み合わせた上映プログラムとして公開する形です。
スタジオジブリの公式サイトに掲載された2002年12月24日の「ジブリ日誌」でも、その年の夏に『猫の恩返し』と『ギブリーズ episode2』が2本立てで公開されたことが説明されています。
出典:スタジオジブリ「ジブリ日誌・2002年12月」(12月24日の記述)
つまり、作品の関係を知るうえで大切なのは、「一緒に公開されたこと」と「物語がつながっていること」を分けて考えることです。
タイトルが並んでいると、ひとつの作品名のようにも見えますよね。でも、この2本については、それぞれ別の映画として捉えると分かりやすくなります。
『ギブリーズ episode2』はハルやバロンの番外編ではない
『猫の恩返し』は、女子高校生の吉岡ハルが猫を助けたことをきっかけに、猫の国へ招かれる物語です。猫の男爵バロンや、太った猫のムタなどが登場します。
一方、『ギブリーズ episode2』の舞台は、架空のアニメーション制作会社「スタジオギブリ」。そこで働く人々の日常を、複数の短いエピソードで描いています。
猫の国で起きた出来事の裏側を描く作品でも、バロンのその後を描く作品でもありません。『猫の恩返し』の続きを期待して見ると、そもそもの題材が違うということです。
両作品の基本的なあらすじは、三鷹の森ジブリ美術館オンラインショップの作品紹介で確認できます。
『猫の恩返し』と『ギブリーズ episode2』の違いを比較
まずは、公式に確認できる基本情報を並べてみます。
| 比較する項目 | 猫の恩返し | ギブリーズ episode2 |
|---|---|---|
| 公開日 | 2002年7月20日 | 2002年7月20日 |
| 監督 | 森田宏幸 | 百瀬義行 |
| 脚本 | 吉田玲子 | 百瀬義行 |
| 上映時間 | 約75分 | 約25分 |
| 物語の中心 | 女子高校生ハルと猫の国での冒険 | 架空のアニメーション制作会社で働く人々の日常 |
| 構成 | ハルを中心に進むひと続きの物語 | 6つのパートからなるオムニバス短編 |
出典:スタジオジブリ『猫の恩返し』作品情報/スタジオジブリ『ギブリーズ episode2』作品情報/三鷹の森ジブリ美術館オンラインショップ・あらすじ
約75分と約25分で、2作品を合わせると約100分
『猫の恩返し』の上映時間は約75分、『ギブリーズ episode2』は約25分です。2本を合わせると約100分になります。
この違いは、DVDやBlu-rayの商品情報を見るときにも役立ちます。『猫の恩返し/ギブリーズ episode2』という商品に「約100分」と書かれていても、『猫の恩返し』だけで約100分あるわけではありません。
実際に、ディズニー公式の商品情報では、収録時間を約100分とし、『猫の恩返し』『ギブリーズ episode2』の2作品を収録していることが明記されています。
出典:ディズニー公式『猫の恩返し/ギブリーズ episode2』商品情報
ここを知っておくと、「75分という情報と100分という情報、どっちが正しいん?」という疑問も解けます。作品単体の時間なのか、2作品を収録した商品の時間なのかで、数字が変わるわけです。
同じジブリ作品でも、監督と脚本の担当が違う
『猫の恩返し』は、森田宏幸が監督、吉田玲子が脚本を担当しています。宮崎駿の担当は「企画」であり、この映画の監督ではありません。
『ギブリーズ episode2』は、百瀬義行が脚本と監督を担当。キャラクター原案は「すずきとしお」、特別キャラクター原案は「いしいひさいち」と公式に記載されています。
同じスタジオで制作され、同じ日に公開されていても、作品を形にするスタッフの組み合わせは異なります。
「ジブリ」という名前から入っても、その先には違う作り手の作品がある。今回の2本立ては、そんなふうに作品ごとの個性へ目を向ける入口にもなるのではないでしょうか。『ギブリーズ episode2』はどんな作品?
架空の会社で働く人々を描いた6つの短編
『ギブリーズ episode2』は、架空のアニメーション制作会社「スタジオギブリ」で働く人々を描く、6つのパートからなるオムニバス短編アニメーションです。
三鷹の森ジブリ美術館オンラインショップの紹介では、スタッフがお昼に入った店で激辛カレーに出会う話、野中くんの小学校時代の思い出、会社帰りの米ちゃんなどが挙げられています。
出典:三鷹の森ジブリ美術館オンラインショップ『猫の恩返し/ギブリーズepisode2』
ここから分かるのは、猫の王国への冒険とは違い、食事や帰り道、昔の記憶といった身近な題材が中心になっていることです。
「アニメーション会社が舞台」と聞くと、映画を完成させるまでの仕事の物語を想像するかもしれません。しかし、紹介されているエピソードには、仕事の成果だけではくくれない、そこで暮らす人たちの時間があります。
会社で働く人にも、お昼に何を食べるか考える時間があり、子どもの頃の記憶がある。そんなところに目を向ける作品として捉えると、『猫の恩返し』との題材の違いも見えてきます。
大きな冒険が起きる物語と、普段なら通り過ぎてしまいそうな出来事を拾う物語。同じアニメーションでも、どこに目を向けるかで入口が変わるんやな、と考えられる組み合わせです。
実在するスタジオジブリの記録映像ではない
もうひとつ押さえておきたいのが、舞台の名称です。公式のあらすじでは、架空のアニメーション制作会社「スタジオギブリ」と説明されています。
実在する会社は「スタジオジブリ」ですが、作品内の会社は「スタジオギブリ」。よく似た名前でも、この作品は実際の職場を撮影したドキュメンタリーではありません。
したがって、登場する出来事を、そのまま実際のジブリ社内で起きた事実として受け取るのは避けたいところです。まずは架空の会社を舞台にしたアニメーションとして見ると、作品の位置づけをつかみやすくなります。
「episode2」は『猫の恩返し』の第2話という意味?
2000年に先行する『ギブリーズ』が放送されていた
『ギブリーズ episode2』という名前には、「それならepisode1はどこにあるの?」という疑問も出てきます。
これについては、スタジオジブリの公式日誌に説明があります。2000年4月、日本テレビ系列のジブリ特番で、エピソード1に相当する短編『ギブリーズ』がすでに放送されていました。
その先行作品があるため、2002年の劇場公開作品には「episode2」という名称が付いているわけです。
出典:スタジオジブリ「ジブリ日誌・2002年12月」(12月24日の記述)
つまり、「2」という数字が示しているのは『ギブリーズ』側の流れです。『猫の恩返し』を第1話として、その続きを描いているわけではありません。
『猫の恩返し』の理解に必要な前日譚ではない
『猫の恩返し』の登場人物や物語を理解するために、『ギブリーズ』の先行作品を確認する必要はありません。
整理すると、『猫の恩返し』と『ギブリーズ episode2』の関係は同時上映。先行する『ギブリーズ』と『ギブリーズ episode2』の関係は、タイトルの数字につながる作品の流れです。
この2つを分けると、「どれから見たらええんやろ」という迷いも減るはずです。『猫の恩返し』が気になっているなら、まずハルの物語から入って問題ありません。
DVDやBlu-rayでタイトルが一緒になっている理由
1つの商品に、独立した2作品が収録されている
ディズニー公式では、『猫の恩返し/ギブリーズ episode2』という名称でDVDとBlu-rayの商品情報が掲載されています。
収録内容には、両タイトルがそれぞれ記載されています。また、絵コンテや『猫の恩返し』誕生物語などは、映像特典として別に案内されています。
ここでのポイントは、『ギブリーズ episode2』が単なるメイキング映像や予告編として付いているのではなく、独立した収録作品として扱われていることです。
出典:ディズニー公式『猫の恩返し/ギブリーズ episode2』商品情報
商品名の「/」は、物語が途中で切り替わることや、ひとつの映画に別名があることを示しているわけではありません。2作品をまとめて収録した商品なので、タイトルも並んでいます。
テレビ放送でも必ずセットになるとは限らない
劇場で同時上映され、映像商品にも一緒に収録されているからといって、テレビ放送でも必ず2本がセットになるとは限りません。
放送される作品を確かめる場合は、その回の番組表や放送局の公式案内で、『ギブリーズ episode2』の記載があるかを確認する必要があります。
「映画館では一緒だった」という公開時の情報と、「今回の放送で何が見られるか」は別の話です。両方を見たい場合は、放送タイトルや商品の収録内容まで確認すると確実です。
まとめ|一緒に公開された、違う個性を持つ2本の映画
『猫の恩返し』と『ギブリーズ episode2』は、2002年7月20日に同時上映された別作品です。ハルの冒険と、架空の会社で働く人々の日常という、異なる題材を描いています。
『ギブリーズ episode2』の「2」は、2000年にテレビ放送された先行短編につながる数字。『猫の恩返し』の続編や第2話を意味するものではありません。
2作品の関係は「物語の続き」ではなく、「劇場で一緒に公開された組み合わせ」と覚えると分かりやすくなります。
猫の国へ連れていかれる冒険と、昼食や思い出をめぐる短編。同じジブリ作品という入口から、ずいぶん違う世界に出会える。そう考えると、並んだ2つのタイトルにも、それぞれ目を向けてみたくなるのではないでしょうか。

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