『となりのトトロ』に登場するカンタ。最初はサツキをからかっているのに、雨の日には自分の傘を貸してくれる。あの態度の違いが気になった方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、カンタはサツキの同級生で、引っ越し先の近所に暮らす男の子です。ぶっきらぼうな態度を取る一方、困っている姉妹には行動で手を貸す優しさがあります。
サツキへの接し方には、照れや好意を読み取ることもできます。ただし、本編で恋人関係になるわけではありません。描かれている行動と、そこから考えられる気持ちは分けて見ていく必要があります。
この記事では、カンタの人物像を整理しながら、サツキとの距離の変化や、不器用な優しさについて考察します。
※ここから『となりのトトロ』後半の展開にも触れます。
『となりのトトロ』カンタとは?サツキの同級生で近所の男の子
おばあちゃんの孫として、草壁家と関わる
カンタは、サツキとメイが引っ越してきた土地に暮らす男の子です。姉妹や父親を何かと助けてくれるおばあちゃんの孫で、サツキとは学校の同級生でもあります。
つまり、カンタとサツキには、近所の子ども同士というつながりと、学校で顔を合わせる関係の両方があります。
引っ越してきたばかりのサツキにとって、カンタは新しい土地で出会う身近な子どもの一人です。ただ、出会った直後から、すんなり仲良く話せるわけではありません。
トトロやネコバスとの出会いが不思議な世界への入り口だとすれば、カンタとの関わりは、新しい土地で人間関係ができていく日常の一部分として見ることができます。
カンタの声を担当しているのは雨笠利幸
カンタの声を演じているのは、雨笠利幸さんです。日本テレビの作品紹介にも、カンタ役として名前が掲載されています。
カンタを考えるときに注目したいのは、言葉だけで性格を判断しにくいところです。口ではそっけなく振る舞っていても、その後の行動を見ると、別の一面が伝わってきます。
最初の印象だけでは分からない性格が、サツキとの関わりの中で少しずつ見えてくる人物なのです。
カンタはなぜサツキをからかう?照れがあるようにも見える
引っ越してきた家をからかう、第一印象の悪い出会い
物語の序盤で、カンタはサツキたちの家をお化け屋敷だとからかいます。サツキも腹を立てて応じるため、二人の出会いは、親切な案内役と転校生という穏やかなものではありません。
この場面だけを見ると、カンタは意地悪な男の子にも映るでしょう。実際、サツキにとって、引っ越してきた家をからかわれるのは気持ちのよいことではありません。
だから、「好きな子をからかっているだけ」と説明して、サツキが嫌がったことまで軽く扱う必要はないと思います。
からかう態度があることと、優しい面があることは、同じ人物の中に両方存在できます。カンタも、最初から立派に振る舞える子どもとして描かれているわけではありません。
サツキを意識しているという読み方はできる
カンタの態度には、サツキが気になっているのに、素直に接することができない照れを読み取れます。
ただし、これは言動からの解釈です。からかったという事実だけで、恋愛感情が確定するわけではありません。相手への関心、緊張、恥ずかしさなどが重なっているようにも見えます。
話してみたいのに、何を言えばいいのか分からない。気になっていることを周囲に知られるのも恥ずかしい。そんな気持ちを想像すると、カンタのぎこちなさは理解しやすくなるのではないでしょうか。
気持ちを言葉にするのって、子どもでも簡単やないんよな。ただ、その不器用さを知ったからといって、相手に嫌な思いをさせたことまで正当化されるわけではありません。
雨の日に傘を貸す場面で、カンタの優しさが見える
言葉で説明するより先に、困っている姉妹を助ける
カンタの印象が変わる場面の一つが、雨宿りをしているサツキとメイに、自分の傘を差し出すところです。
カンタは丁寧に事情を聞いたり、優しい言葉を重ねたりするのではなく、傘を渡して、自分は雨の中を走っていきます。
ここで明確に描かれているのは、自分が使っていた傘を姉妹に渡し、自分は濡れて帰るという行動です。照れや好意について考える前に、まずこの行動そのものに優しさがあります。
相手が困っていると分かっていても、何もしないまま通り過ぎることはできます。それでもカンタは、姉妹が雨を避けて帰れるように手を貸します。
最初のからかう姿だけでは見えなかった一面が、この場面で伝わってきます。
「優しいことを言える人」と「助ける人」は、いつも同じではない
この場面のカンタは、親切に見える振る舞いが上手なわけではありません。傘の渡し方にも、普段のぶっきらぼうさが残っています。
それでも、受け取った側には助けになります。言い方のぎこちなさと、行動の親切さが同時にあるところが、カンタらしいのではないでしょうか。
ここからは考察ですが、カンタの優しさは、うまく気持ちを伝えられなくても、目の前で困っている人のために動けることに表れているように思います。
もちろん、優しい行動をしたからといって、恋愛感情への見返りがあるわけではありません。傘を貸したことは、そのまま一つの親切として受け取れます。
気持ちを説明するのは苦手でも、傘は渡せる。その小さな行動があるから、カンタは「からかってくる男の子」だけでは終わらないのです。カンタとサツキの関係は、物語の中でどう変わる?
からかい合う相手から、助けを求められる相手へ
序盤のサツキにとって、カンタは引っ越してきた家をからかう男の子です。ところが、雨の日の親切や、その後の関わりを通して、二人の接し方は変わっていきます。
後半でメイが行方不明になると、カンタも捜索に加わります。このときには、最初のように相手をからかって距離を取るのではなく、メイを見つけるために動いています。
注目したいのは、二人が仲良くなったことを説明する長い会話がなくても、行動の変化から関係の進展が伝わることです。
最初はうまく話せなかった相手が、困ったときには頼れる相手になる。カンタとサツキの関係には、新しい土地で少しずつ知り合いが増えていく過程も表れているように見えます。
呼び方にも、距離が縮まったことが表れる
メイを探す場面では、サツキがカンタを親しみのある呼び方で呼び、カンタもサツキの名前を呼んでいます。
名前を自然に呼べることは、小さな変化です。しかし、出会った頃のぎこちなさを踏まえると、その小ささが二人らしくもあります。
大げさな仲直りや約束を交わさなくても、いつの間にか相手に声をかけられるようになっている。そうした距離の縮まり方として受け取れるでしょう。
関係の変化については、映画.comの『となりのトトロ』登場人物紹介でも、傘を貸す場面やメイの捜索時の呼び方が取り上げられています。
メイを探すカンタから分かる、もう一つの優しさ
サツキの困りごとを、自分にも関わることとして受け止める
メイがいなくなったとき、サツキは不安を抱えながら走り回ります。カンタも、そんな状況の中でメイを探します。
雨の日の親切が、その場で困っている姉妹を助ける行動だったとすれば、捜索への協力には、事態を気に掛け続ける姿が表れています。
もちろん、メイを探しているのはカンタ一人ではありません。おばあちゃんをはじめ、地域の大人たちも動いています。カンタも、その中で自分にできることをしているのです。
ここからは考察ですが、カンタの優しさは、サツキにどう思われるかだけでなく、姉妹が置かれた状況に目を向ける行動として読むことができます。
困っている相手の前で、気の利いたことを言えるとは限りません。それでも、探す、走る、声をかけるという形で関われる。カンタには、そんな身近な頼もしさがあります。
メイを探す場面で分かる、カンタとサツキの関係の変化
からかう相手から、一緒に動く相手へ
物語の後半、メイが行方不明になると、カンタも捜索に加わります。序盤にサツキをからかっていた男の子が、今度は妹を探すために動いているのです。
ここでは、雨の日に見せた親切が、一度きりの行動ではなかったことが分かります。困った状況を前に、カンタはサツキたちと関わり続けます。
二人の間に、仲直りを宣言するような大きな出来事があるわけではありません。それでも、必要なときに声を掛け合い、協力できる関係へと変わっています。
カンタとサツキの距離は、気持ちを長く説明する会話よりも、一緒に困難へ向き合う行動によって縮まっているように見えます。
傘を貸してもらったこと、その後も近所や学校で関わること、そしてメイを一緒に探すこと。こうした積み重ねから、相手への見方が変わっていくと考えられます。
呼び方にも、親しさが表れている
メイを探す場面では、サツキがカンタを「カンちゃん」と呼び、カンタもサツキの名前を呼んでいます。出会った頃のやり取りと比べると、互いに声を掛ける距離が近くなっています。
ただし、名前や愛称で呼ぶことだけで、恋人関係になったとは言えません。ここで読み取れるのは、少なくとも、最初のよそよそしい関係から変化しているということです。
気まずさが完全になくなったかどうかより、いざというときに頼ったり、応じたりできる。その変化に、二人の関係の温かさがあります。
仲良くなるって、必ずしも「今日から友達やで」と言うことやないんよな。いつの間にか名前を呼んで、困ったときには一緒に動いている。二人には、そんな自然な近づき方が見えます。
カンタはサツキが好き?恋愛として読める部分と断定できない部分
そっけなさに、好意や照れを感じることはできる
サツキを意識しているような態度や、言葉少なに傘を差し出す姿から、カンタに淡い好意があると受け取ることはできます。
特に、相手に優しくしたい気持ちと、それを知られる恥ずかしさが同時にあると考えると、ぶっきらぼうな接し方にも一つの説明がつきます。
ただし、カンタ自身が、その場で気持ちを詳しく語るわけではありません。好意を感じさせる描写と、本人が言葉で明かした気持ちは、区別しておきたいところです。
また、メイを探す行動まで、すべて恋愛感情だけで説明する必要はないでしょう。近所の幼い子どもがいなくなったことへの心配や、サツキを助けたい思いも読み取れます。
サツキとの結婚や将来は、本編では描かれない
カンタとサツキのやり取りを見て、「大人になったら二人はどうなるんだろう」と想像することもあるかもしれません。
しかし、本編では、二人が将来恋人になることや、結婚することまでは描かれていません。そこから先は、映画で確かめられる事実とは別の想像になります。
二人の関係は、未来の答えが決まっていなくても楽しめます。今はまだ照れがありながら、互いを知り、身近な相手になっていく。その途中の関係に魅力があるからです。
将来どうなるかを決めるより、サツキがカンタを頼れるようになり、カンタがその呼びかけに応じるようになったことを見たい。その変化だけでも、十分に大切なものが描かれていると思います。
カンタは、姉妹を支える地域のつながりの一人でもある
トトロとは違う形で、姉妹の力になる
『となりのトトロ』では、トトロやネコバスが不思議な力を見せます。一方、カンタにできるのは、傘を貸すことや、メイを探すために動くことです。
どちらも姉妹にとって助けになりますが、カンタの行動は、日常の中にある人の親切として描かれています。
新しい土地で暮らす姉妹の周囲には、おばあちゃんや近所の人たちがいます。カンタもその一人であり、大人たちとは異なる、子ども同士のつながりを作っています。
ここからは作品の受け取り方ですが、カンタの存在によって、姉妹の暮らす場所には、不思議な生き物だけでなく、手を貸してくれる人もいると感じられます。
優しさを見るには、一つの態度だけでは足りない
カンタを、序盤のからかう言葉だけで見れば、感じの悪い男の子に思えるかもしれません。反対に、傘を貸す場面だけを取り出せば、最初から素直で親切な人物に見えてしまいます。
けれども、本編にはその両方があります。相手を困らせる言い方をすることもあれば、困っている相手を助けることもある。その揺れが、カンタという子どもの姿を作っています。
カンタの魅力は、いつも上手に振る舞えることよりも、不器用なままでも相手のために行動できるところにあるのではないでしょうか。
だから、彼の優しさは、性格を一言で説明するより、サツキとの関係の中で見ていくと伝わってきます。言葉だけでも、親切な一場面だけでも捉えきれない人物なのです。
まとめ|カンタは、行動を通してサツキとの距離を縮める男の子
『となりのトトロ』のカンタは、サツキの同級生で、おばあちゃんの孫にあたる近所の男の子です。声は雨笠利幸さんが担当しています。
最初はサツキをからかいますが、雨の日には傘を貸し、メイが行方不明になった際には捜索に加わります。サツキとの関係も、ぎこちない出会いから、声を掛け合って協力できるものへと変わっていきます。
カンタの優しさは、そっけない態度の奥にある気持ちを想像するだけでなく、実際に姉妹を助けた行動から受け取れます。
サツキへの淡い好意を感じることはできますが、二人の将来まで本編で決まっているわけではありません。今の二人が少しずつ互いを知り、身近な存在になっていく。その過程こそ、カンタを見る面白さではないでしょうか。

コメント