『ラピュタ』ポムじいさんとは?飛行石を知る老人の言葉を考察

『天空の城ラピュタ』で、地下に逃げ込んだパズーとシータが出会うポムじいさん。登場時間は長くありませんが、飛行石を知り、岩や石について不思議な話をする姿が印象に残る人物です。

最初に答えると、ポムじいさんは、鉱山の地下で二人を助け、飛行石とラピュタ人にまつわる知識を伝える老人です。パズーとは以前から面識があり、二人の冒険を、地中に眠る石と古い文明の話へつなぐ役割を担っています。

ただし、飛行石を知っているからといって、本人がラピュタ人だと明かされているわけではありません。この記事では、作中で分かる人物像と、石についての言葉から考えられることを分けて見ていきます。

※ここから『天空の城ラピュタ』のポムじいさん登場場面と、飛行石に関する説明をネタバレします。

ポムじいさんとは?地下でパズーとシータを助ける老人

ポムじいさんが登場するのは、ドーラ一家や軍に追われたパズーとシータが、飛行石の力で地下へ降りた後です。出口を探す二人の前に現れ、休める場所へ迎え入れます。

パズーは、会った瞬間にポムじいさんだと分かり、シータにも安心できる相手として紹介します。このやり取りから、パズーにとっては初対面の謎の老人ではなく、以前から知っている人だと分かります。

一方で、二人の詳しい出会いや、ポムじいさんの家族、過去の暮らしまで説明されるわけではありません。親方のようにパズーの仕事を直接指導する人物とも、区別して考えたいところです。

映画は、その経歴を細かく語る代わりに、パズーが警戒を解く様子や、老人が二人を迎える態度によって、関係を伝えています。

地下にいるからといって、地下だけで暮らしているわけではない

シータは、ポムじいさんがずっと地下で暮らしているのかと尋ねます。しかし、本人はそうではないと答え、石の様子が気になって地下にいることを話します。

そのため、ポムじいさんを「地上には出ない、地下に住み続ける老人」と説明するのは正確ではありません。この場面で地下にいる理由は、石の変化に関心を寄せているからです。

人が逃げ込む場所としての地下と、彼が石を感じ取るために訪れる地下。同じ場所でも、二人とポムじいさんでは見え方が違っています。

パズーとシータには暗くて出口の分からない場所が、ポムじいさんには、耳を澄ませたくなる場所になっている。この違いが、人物の独特な雰囲気を作っています。

ポムじいさんは飛行石について何を知っていた?

地下の場面では、暗闇の中で岩が光を帯び、二人の周囲に美しい景色が広がります。ポムじいさんは、周辺の岩に飛行石が含まれていることを説明します。

ここで重要なのは、飛行石がシータのペンダントだけに存在するものではないと分かることです。地中の岩にも含まれています。

ただし、岩に含まれる飛行石と、シータが持つ結晶は、同じ状態ではありません。ポムじいさんは、飛行石を結晶にする技術をラピュタ人が持っていたという話も伝えます。

この説明によって、ペンダントは単に珍しい宝石というだけでなく、自然の中にあるものと、古い文明の技術が結びついた存在として見えてきます。

空に浮かぶ城を目指す物語で、その手がかりが地下にある。上へ向かう冒険の途中で、足元の岩に目を向ける構成がおもしろいんですよね。

知識があることと、ラピュタ人であることは別

ポムじいさんが詳しく説明するため、「この人もラピュタの一族なのでは?」と考える余地はあります。

しかし、映画では、ポムじいさん自身がラピュタ人や王家の末裔だと明かされる場面はありません。知識のすべてを、どこで身につけたのかも詳しくは語られていません。

そのため、確実に言えるのは、石や飛行石に関する知識を持ち、ラピュタ人についての話を二人に伝える人物だということです。

正体に秘密があると断定するより、地中の石に親しむ老人が、空の文明につながる知識を持っている。その設定そのものを味わうほうが、この場面の魅力を捉えやすいでしょう。

石の声についての言葉は、超能力の説明なのか

ポムじいさんは、石が騒いでいることや、その声が小さいことを話します。岩をただの動かない物体として扱うのではなく、何かを伝えてくる相手のように接しているのです。

ただ、映画はその感覚を、詳しい能力設定として説明していません。誰でも訓練すれば聞こえるのか、ポムじいさんだけの力なのかといった仕組みは、明確には分かりません。

ここは、二つの方向から受け取れます。一つは、石が不思議な力を持つ世界で、老人がその変化を感じ取っているという見方。もう一つは、石に長く親しんできた人の、細やかな感覚を表す言葉としての見方です。

どちらかを唯一の正解に決めなくても、場面は成立します。目の前では実際に岩が光る不思議が起きており、ポムじいさんの言葉には、その景色へ二人を導く働きがあります。

ポムじいさんは、石から何を手に入れるかを考える前に、石がどんな様子なのかを感じ取ろうとしている。その姿勢が、この人物の言葉を考える手がかりになります。

鉱山は、人が地中から資源を取り出す場所です。その中に、石へ耳を澄ませる人がいる。同じ石との関わりでも、働くこと、利用すること、感じ取ることが重なっているように見えます。

ポムじいさんの声を演じているのは常田富士男

ポムじいさんの声を担当しているのは、常田富士男さんです。ディズニー公式の『天空の城ラピュタ』作品ページでも、ポムじい役として確認できます。

ゆったりした話し方や、笑いを含んだ声によって、二人を追い立てる大人たちとは違う空気が生まれています。直前まで続いていた追跡の緊張が、地下での会話によって少し緩むのです。

一方、飛行石の力に触れると、穏やかな会話の中に畏れも混じります。知識を持っているからこそ、その石をただ喜んで眺めているだけではない。その変化が、次に考えたいところです。

ポムじいさんはなぜ飛行石を怖がった?知識と畏れが重なる場面

シータのペンダントが飛行石の結晶だと分かると、ポムじいさんは驚きます。そして、その力を強く感じ、シータに石をしまうよう頼みます。

ここで描かれるのは、珍しい石を見つけた喜びだけではありません。長く石に親しんできた老人が、その結晶には自分が受け止めきれないほどの力があると感じているのです。

ただし、飛行石の光で体が傷ついた、特定の病気を起こした、といった説明はありません。ポムじいさんの反応から分かるのは、石の力を強すぎるものとして受け止めていることです。

二人を迎えたときの穏やかさが残っているからこそ、その変化が目立ちます。石について詳しい人が、目の前の結晶には慎重になる。知っていることが、安心だけにつながるとは限らないんですよね。

知らないから怖いのではなく、知っているから慎重になる

パズーにとって、飛行石はシータを助けた不思議な石です。ラピュタの存在へ近づく手がかりでもあるため、驚きと期待が先に立ちます。

一方、ポムじいさんは、石と関わってきた経験をもとに、その力が何をもたらすのかを気にしています。

この違いは、若い人は無知で、年配の人が正しいという単純な対比ではありません。パズーは石が人を助けた出来事を知り、ポムじいさんは力のある石が危うさも持つと考えている。二人が見ている面が違うのです。

どちらかを否定するのではなく、同じ石に期待と畏れが向けられている。その重なりが、この場面を印象深くしています。

シータへの忠告は、飛行石を悪いものだと決めつける言葉ではない

ポムじいさんはシータに、力のある石は人を幸せにする一方、不幸を招くこともあるという趣旨の話をします。

重要なのは、飛行石そのものを、ただ危険なものとして否定していないことです。よい結果も悪い結果もあり得ると伝えています。

シータは、その石によって落下から救われています。その働きは、ポムじいさんの忠告によって消えるわけではありません。しかし、石を狙う人たちに追われていることも、二人が置かれた現実です。

同じ石が命を守り、その石を持っていることで危険にも巻き込まれる。飛行石の力と、それを欲しがる人間の行動が、シータの身に同時に関わっています。

人を助ける力があるからといって、その力をめぐる出来事まで、すべてよいものになるとは限らない。ポムじいさんの言葉は、そうした注意として受け取れます。

人の手で作られた結晶だからこそ、気にかけている

ポムじいさんは、シータの石が人の手によって作られたものであることにも、気がかりを示します。

これは、地中の岩に含まれる飛行石と、技術によって結晶にされた飛行石を区別する言葉です。ただし、結晶化の詳しい方法や、人が手を加えることの何が危険なのかまでは説明されません。

ここから考えられるのは、自然にある力を人が利用できる形にしたとき、その影響が大きくなることへの警戒です。これは作中の発言を踏まえた考察であり、ポムじいさんが技術そのものをすべて否定しているとまでは言えません。

便利な力を得たら、それで何ができるのかに目が向く。でも、この老人は、その力を持つ人がどうなるのかも気にしている。シータへの話には、そうした視線が感じられます。

パズーはなぜ忠告より、ラピュタの存在に心を動かされた?

ポムじいさんの話を聞いたパズーは、ラピュタが実在するという期待を強めます。父が見たという空中の城へ、手がかりがつながったからです。

パズーにとって、この話は単なる古い文明の知識ではありません。父が語ったことを信じる理由になる話です。だからこそ、飛行石の危うさよりも、父の見たものが本当だったという喜びに心が向くのでしょう。

さらに、石はすでにシータを助けています。パズーが飛行石を肯定的に受け止めるのには、目の前で起きた出来事という根拠もあります。

「危ないかもしれない」と言われても、「でも、助けてくれたやん」と思う。その反応は、無理のないものです。

一方で、助けられた経験だけでは、その力が今後どう使われるかまでは分かりません。パズーの期待には理由があり、ポムじいさんの慎重さにも意味がある。会話は、その両方を残しています。

ポムじいさんの言葉は、物語の先をどう変えて見せる?

ポムじいさんは、二人と一緒にラピュタを目指すわけではありません。それでも、地下で語った忠告は、飛行石をめぐるその後の出来事を考える手がかりになります。

二人を救った力を見れば、石のありがたさが分かる。石を求めて争う人たちを見れば、その力が不幸にもつながるという話が思い出される。

この意味で、ポムじいさんの言葉は、飛行石の両面を先に示す、物語上の予告として働いていると考えられます。ただし、本人が未来の出来事をすべて予知していたということではありません。

彼は二人の行き先を決めたり、冒険を強引に止めたりせず、気がかりを伝えます。聞いた後にどう動くかは、二人に残されているのです。

答えを押しつけず、知らなかった面を教える。ポムじいさんは、そんな大人としても見えるんちゃうかな。

まとめ|ポムじいさんは、飛行石の力を知るだけでなく、その先を気にする老人

『ラピュタ』のポムじいさんは、地下でパズーとシータを助け、飛行石とラピュタ人にまつわる知識を伝える人物です。声を演じているのは、公式作品ページでも確認できる常田富士男さんです。

映画では、本人がラピュタ人だと明かされているわけではありません。石の変化を感じ取る様子も、詳しい超能力の設定としては説明されていません。

その言葉で大切なのは、力のある石が、人を幸せにも不幸にも導き得るとシータに伝えることです。パズーの期待を残しながら、強い力を喜ぶだけでは見えない面へ目を向けさせています。

石に何ができるかだけでなく、それによって人がどうなるのか。ポムじいさんの短い登場場面には、冒険の行方を考えるための問いが置かれています。

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