『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は同時上映?公開日と制作会社の関係

『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は、同じ映画館で一緒に上映されていたのでしょうか。作品の雰囲気を考えると、意外な組み合わせに感じるかもしれません。

結論からいうと、『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は、1988年4月16日に2本立てで劇場公開されました。同じ年に別々に公開されたというだけでなく、2作品を組み合わせた同時上映だったのです。

どちらもアニメーション制作を担当したのはスタジオジブリ。ただし、出資して作品の権利を持つ「製作会社」は異なり、『火垂るの墓』は新潮社、『となりのトトロ』は徳間書店でした。

この記事では、公開日と同時上映の意味、監督や制作体制の違いを整理します。物語の結末には触れず、2作品がどのような形で映画館に届けられたのかを見ていきます。

『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は1988年に同時上映された

公開日は、どちらも1988年4月16日

スタジオジブリの公式作品情報では、『火垂るの墓』『となりのトトロ』の公開日は、どちらも1988年4月16日と記載されています。

さらに、ジブリ公式サイトの「ジブリ日誌」では、この2作品が2本立てで封切られたことが説明されています。同じ日に公開されたという事実に加え、組み合わせて上映されたことまで、公式資料から確認できます。

出典:スタジオジブリ『火垂るの墓』作品情報/スタジオジブリ『となりのトトロ』作品情報/ジブリ日誌・2002年12月24日

現在は、それぞれを独立した作品として知る機会もあります。そのため、公開時の組み合わせまで知らなくても不思議ではありません。

清太と節子の物語と、サツキとメイの物語。今あらためて名前を並べると、「この2本が一緒やったん?」と立ち止まりたくなる組み合わせです。

同時上映は、2本を組み合わせた上映という意味

ここでいう「同時上映」とは、同じ画面に2作品を同時に映すことではありません。別々の映画を組み合わせ、2本立ての上映プログラムとして公開することです。

『火垂るの墓』を見なければ『となりのトトロ』の話が分からなくなる、という関係でもありません。それぞれ別の登場人物と物語を持つ、独立した映画です。

作品としては別々、劇場公開の組み合わせとしては一緒。このように分けると、2本の関係をつかみやすくなります。

なお、同時上映だったことから、すべての劇場での上映順や休憩の有無まで決めつけることはできません。今回確認した公式日誌は、2本立てで公開された事実を説明しているもので、各劇場の細かな運営まで示しているわけではありません。

監督も上映時間も違う、独立した2作品

基本情報を並べると、共通点と違いが分かりやすくなります。

項目火垂るの墓となりのトトロ
公開日1988年4月16日1988年4月16日
監督高畑勲宮崎駿
原作野坂昭如宮崎駿
脚本高畑勲宮崎駿
上映時間約88分約86分
配給東宝東宝

出典:スタジオジブリ公式作品一覧

『火垂るの墓』は高畑勲、『となりのトトロ』は宮崎駿

『火垂るの墓』は、野坂昭如の小説を原作に、高畑勲が脚本と監督を担当した作品です。一方、『となりのトトロ』では、宮崎駿が原作・脚本・監督を担当しています。

同じスタジオジブリの作品でも、監督まで同じというわけではありません。また、『となりのトトロ』と一緒に公開されたことを理由に、『火垂るの墓』を宮崎駿監督作品とするのも誤りです。

「ジブリ」という名前は、作品を見つける入口になります。その先で誰が監督し、どんな物語を作ったのかを見ると、2作品それぞれの輪郭がはっきりしてきます。

短いおまけではなく、約88分と約86分の組み合わせ

公式情報にある上映時間は、『火垂るの墓』が約88分、『となりのトトロ』が約86分です。単純に足すと約174分、2時間54分になります。

これは作品の上映時間を合計した数字で、予告編や休憩などを含めた劇場での滞在時間ではありません。

それでも、どちらか一方が数分の短編として添えられていたわけではなく、長編映画2本の組み合わせだったことは分かります。

同時上映と聞いて、片方は短い作品だったのかと思った人もいるかもしれません。ところが、上映時間はほぼ同じ。それぞれ一本の映画として向き合う長さがあるんよな。

同じジブリ制作でも、出資した会社は違う

「アニメーション制作」と「製作会社」を分けて考える

2作品の関係でもうひとつ大切なのが、「制作」と「製作」の違いです。

ジブリ公式日誌では、この2本はどちらもスタジオジブリが実際のアニメーション制作を行った一方で、出資し、作品の権利を持つ会社は別だったと説明されています。

『火垂るの墓』の製作会社は新潮社、『となりのトトロ』の製作会社は徳間書店です。

出典:スタジオジブリ「ジブリ日誌・2002年12月」(12月24日の記述)

つまり、映像を作る現場が同じでも、映画を資金や権利の面で支える会社まで同じとは限りません。「ジブリが作った映画」という説明と、「どの会社が出資した映画か」という説明は、異なる役割について話しています。

この違いを知ると、2作品が同時上映されたことの意味も少し変わって見えます。同じスタジオの映画を並べただけではなく、別々の出版社が関わる共同プロジェクトでもあったのです。出版社同士の共同プロジェクトでもあった

ジブリ公式日誌は、公開当時、別々の出版社が共同プロジェクトを組んだことも話題になったと説明しています。

ここで整理しておきたいのが、「アニメーション制作」「製作」「配給」という、それぞれの役割です。今回の2作品では、次のように分かれています。

役割火垂るの墓となりのトトロ
アニメーション制作スタジオジブリスタジオジブリ
製作会社新潮社徳間書店
配給東宝東宝

出典:スタジオジブリ「ジブリ日誌・2002年12月24日」/スタジオジブリ公式作品一覧

映像を作るスタジオは同じでも、出資や権利の面では違う会社が関わり、劇場へ届ける配給は同じ。そうした体制で、2本の映画が一緒に公開されました。

作品を見ているときは、会社ごとの役割まで意識しないこともあります。ただ、公開の経緯を調べると、画面の外にも複数の会社や人の協力があったことが見えてきます。

『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は、物語もつながっている?

同時上映は、続編や前日譚という意味ではない

2作品が一緒に公開されたからといって、一方がもう一方の続編になるわけではありません。

『火垂るの墓』は、野坂昭如の小説を原作にした高畑勲監督作品です。『となりのトトロ』は、宮崎駿が原作・脚本・監督を担当した作品。それぞれ、独立した作品として公式に紹介されています。

「同時上映された」というのは劇場公開の形についての情報であり、登場人物や世界がつながっていることの根拠にはなりません。

2本立てだった事実と、物語同士の関係は分けて考える必要があります。

どちらかを先に見なければ、もう片方を理解できなくなる構成でもありません。公開時には一緒に届けられた2本ですが、それぞれ一本の映画として向き合えます。

同じスタジオから、違う作品が生まれている

この組み合わせから考えられる面白さは、同じスタジオの作品でも、一つの雰囲気に収まっていないことです。

『火垂るの墓』と『となりのトトロ』では、監督も、原作の成り立ちも異なります。「ジブリ作品」という共通点はあっても、そこから同じ種類の物語が始まるわけではありません。

ここからは公開情報を踏まえた考察ですが、2本立ては、観客が違う作り手の作品に続けて出会う機会でもあったと考えられます。

一本の映画を目当てにしていても、同じ上映プログラムの中に、もう一本の映画がある。その組み合わせ自体が、作品との出会い方を変えるんよな。

ただし、それが同時上映を決めた目的だったと、制作側の意図まで断定することはできません。「観客にとって、どんな体験になり得たか」という視点での受け止め方です。

なぜ、この組み合わせが意外に感じられるのか

作品の印象から、公開の形までは想像しにくい

作品の内容や登場人物を知っていても、公開当時の上映方法まで知っているとは限りません。

今、それぞれのタイトルやパッケージから作品に触れた人にとっては、初めから別々の映画として認識するのが自然でしょう。そこへ「実は同時上映だった」という情報が加わると、作品の歴史に新しい一面が見えてきます。

この驚きは、両作品が別々の映画として成立していることからも生まれるのではないでしょうか。一緒に公開されたと知らなくても、それぞれの作品を理解できるからです。

だからこそ、公開の事実を知った後には、「当時の観客は、この2本をどう受け止めたんやろ」と考える余地が生まれます。

もちろん、その答えは観客一人ひとりで違います。全員が同じ順番で見た、同じ感情になったと想像でまとめることはできません。確かめられる公開の記録と、そこから広がる想像は分けておきたいところです。

「重い作品と明るい作品」だけでは捉えきれない

2作品の違いを説明するとき、雰囲気の対照に注目することはできます。ただ、それだけで組み合わせの意味を決めると、少し単純になってしまいます。

たとえば、片方がもう片方を見た後の気持ちを和らげるために用意された、といった説明は、今回確認した公式資料からは断定できません。

また、上映時間が約88分と約86分あることからも、どちらも十分な長さを持つ独立した映画です。一方を、もう一方のおまけのように扱うのは適切ではないでしょう。

印象の違いを比べる楽しさと、それぞれを一本の作品として受け止めること。その両方を残しておきたい組み合わせです。

まとめ|同じ日に、異なる制作体制の2作品が一緒に公開された

『火垂るの墓』と『となりのトトロ』は、1988年4月16日に2本立てで劇場公開されました。

アニメーション制作はどちらもスタジオジブリですが、監督は『火垂るの墓』が高畑勲、『となりのトトロ』が宮崎駿。製作会社は、それぞれ新潮社と徳間書店です。

上映時間も約88分と約86分で、片方が短い付属作品だったわけではありません。そして、同時上映されたことは、物語が続いていることを意味しません。

別々の監督、別々の製作会社による独立した映画が、同じスタジオで作られ、一つの上映プログラムとして届けられた。それが、この2作品の公開時の関係です。

知っている映画でも、どの作品と一緒に公開されたのかを調べると、違う見え方が生まれます。『火垂るの墓』と『となりのトトロ』も、作品の中身に加えて、その出会い方まで考えてみたくなる2本ではないでしょうか。

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