『魔女の宅急便』に登場する、ふわふわした白い猫。黒猫のジジとは見た目も雰囲気も違うので、「この猫は誰?」「最後に出てくる子猫は二匹の子ども?」と気になった方もいるのではないでしょうか。
白猫の名前はリリー。パン屋の隣に住むマキの飼い猫で、ジジと恋仲になる猫です。エンディングでは、二匹の間に生まれた子猫たちも登場します。
ただ、最初からジジがリリーに好意的だったわけではありません。出会ったころの態度と、その後の変化を追うと、キキの相棒としてだけではない、ジジ自身の暮らしが見えてきます。
この記事では、リリーの飼い主や見た目、ジジとの関係の変化、最後に登場する子猫たちについて、1989年公開のアニメ映画版に絞って紹介します。原作小説や実写映画の設定とは分けて整理します。
※ここから『魔女の宅急便』のエンディングまでネタバレします。
『魔女の宅急便』リリーとは?ジジと恋仲になる白猫
リリーは、キキが暮らすパン屋の近くにいる白い雌猫です。黒くすっきりした姿のジジに対して、リリーは毛並みがふわっとしていて、ゆったりとした印象があります。
ジジはキキと言葉を交わすため、心配していることや不満が観客にも伝わります。一方、リリーはジジのように人間の言葉で気持ちを説明するキャラクターではありません。表情や動き、ジジとの距離から関係を読み取ることになります。
この違いがあるので、リリーには少し謎めいた雰囲気もあります。何を考えているのか、すべてが言葉で分かるわけではない。その分、リリーを前にしたジジの反応が目立つんですよね。
なお、「ジジの恋人」というのは、映画の中で二匹が親しくなり、最後には子猫たちと一緒に描かれることを踏まえた説明です。人間の恋愛のように、告白や交際の約束が描かれるわけではありません。
リリーを知るうえでは、細かな恋愛設定を想像で足すより、二匹がどう近づいていくかを見るほうが分かりやすいでしょう。
映画の公開年や原作・監督などの基本情報は、スタジオジブリ公式の『魔女の宅急便』作品ページで確認できます。このページは作品情報の確認元であり、リリーの性格や二匹の心理についての説明は、映画の描写から読み取るものです。
リリーの飼い主はマキ|キキが暮らすパン屋の隣の猫
リリーの飼い主は、パン屋の隣に住むマキです。キキが身を寄せるパン屋のおかみさん、おソノさんの飼い猫ではありません。
キキとジジは、修行のために故郷を離れて新しい街へやって来ます。それに対して、リリーはその街で暮らしている猫です。ジジにとっては、引っ越し先で出会ったご近所の猫、と考えると関係がつかみやすいですね。
ここで押さえたいのは、リリーがキキとジジの旅に最初から同行していたわけではないことです。二匹が新しい場所に暮らし始めたからこそ、リリーとの出会いが生まれます。
キキには、住まいを提供してくれるおソノさんや、空を飛ぶことに興味を持つトンボなど、新しい人間関係ができていきます。その一方で、ジジにも猫同士のつながりができる。街で生活することが、キキだけでなくジジの世界も広げているように見えます。
リリーはキキの仕事を直接助ける人物ではありません。それでも、ジジの暮らしが変わるきっかけとして見ると、物語の中での役割がはっきりしてきます。
ジジは最初、リリーに好意的ではなかった
後に恋仲になる二匹ですが、ジジは初めからリリーを好きだったわけではありません。最初は、リリーの様子を気取っていると受け取り、好意的ではない反応を見せます。
ただし、ここは「リリーは嫌な性格の猫だ」と確定する場面ではなく、ジジがそう受け取っている場面として見る必要があります。
同じ振る舞いでも、見る側によって印象は変わります。ゆったりしている姿が上品に見えることもあれば、すましているように見えることもある。リリー自身の内面が詳しく語られない以上、最初のジジの評価だけで性格を決めつけることはできません。
ジジは、キキのそばで周囲の出来事に細かく反応する猫です。そのジジが、見慣れない白猫にも自分なりの評価をしている。けれど、その評価は後に変わっていきます。
第一印象では合わなさそうに見えた相手と、実際に関わるうちに距離が縮まる。二匹の関係には、そんな身近な人間関係にも通じる流れがあります。
とはいえ、「本当は最初から好きで、照れ隠しをしていた」とまで断定する必要はないでしょう。映画で分かるのは、当初は好意的でなかったジジが、その後リリーと親しくなるという変化です。
リリーとの出会いで、ジジにも自分の世界ができていく
ジジはリリーと交流するようになり、二匹の距離は縮まっていきます。最初の態度を知っていると、その変化には少しおかしみもあります。
キキにとって、ジジは故郷から一緒にやって来た大切な相棒です。新しい街で知っている相手が少ない時期には、言葉を交わせるジジの存在が心強いものだったと考えられます。
だからこそ、ジジがリリーと過ごすようになる変化は、恋の話だけでは終わりません。キキのそばにいたジジにも、キキとは別の相手と関わる時間が生まれるからです。
ここには、親しい相手との関係が少しずつ変わっていく様子を重ねることもできます。仲がよくても、すべての時間を一緒に過ごすとは限らない。それぞれに知り合いや居場所が増えることで、以前とは違う距離になることもあります。
ただ、ジジに新しいつながりができることと、キキとの関係がなくなることは、同じではありません。
リリーの存在を「キキからジジを奪う猫」と受け取るより、ジジにも自分の暮らしがあることを見せる存在、と考えるほうが、二匹の変化を穏やかに捉えられそうです。
いつも一緒にいた相手の世界が広がると、うれしさと寂しさが同時に生まれることもあります。リリーとの関係は、そんな変化を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
ジジとリリーの子猫は4匹|白い子猫3匹と黒い子猫1匹
映画のエンディングでは、ジジとリリーの間に生まれた子猫たちが登場します。子猫は4匹で、白い子猫が3匹、黒い子猫が1匹です。
白い子猫はリリーを、黒い子猫はジジを思わせる姿をしています。二匹の特徴が子猫たちに分かれているため、長い説明がなくても、新しい家族ができたことが伝わってきます。
最初はリリーに好意的ではなかったジジが、最後には子猫たちと一緒にいる。その変化を見ると、キキが宅急便の仕事を始め、人とのつながりを築いている間に、ジジの暮らしも進んでいたことが分かります。
ただし、映画は二匹の交際や出産までの経緯を詳しく描いてはいません。いつから恋仲になったのか、子猫が生まれるまでにどれだけの時間が過ぎたのかなどは、映像で示されている範囲を超えて断定しないほうがよいでしょう。
エンディングで確かめられるのは、ジジとリリーが親しくなった先に、4匹の子猫がいるということです。
最後の小さな黒猫は、ジジとは別の子猫
終盤の映像に登場する小さな黒猫を見て、「ジジが小さくなったの?」「黒猫が二匹いる?」と思うかもしれません。
この小さな黒猫は、ジジとリリーの子猫です。大きな黒猫のジジと、その姿を思わせる小さな子猫がいるので、親子として見分けると分かりやすくなります。
キキの飛行にジジだけでなく黒い子猫も加わる姿は、旅立ちのころとは違う日常を感じさせます。故郷を出たときにはキキとジジの二人きりだったのに、街で暮らすうちに仲間も家族も増えているのです。
物語の中心はキキですが、最後の小さな黒猫にも、その後の暮らしを想像させる役割があります。キキの仕事が続いていくように、ジジたちの日常も続いていく。そんな余韻につながる描写と受け取れます。
リリーの子猫に名前はある?映画では紹介されていない
子猫たちの姿がかわいいだけに、それぞれの名前も気になるところです。しかし、映画本編では、4匹の子猫の名前は紹介されていません。
そのため、映画版について説明する場合は、「白い子猫3匹と黒い子猫1匹」と整理するのが確実です。確認できない名前を、映画の公式設定として付け足すことはできません。
『魔女の宅急便』には原作小説もありますが、原作にある情報をそのままアニメ映画の設定として扱うのも避けたいところです。映画の子猫について知りたい読者には、まず映画で分かることを伝える必要があります。
名前や性格が詳しく説明されないことは、子猫たちの存在感が薄いという意味ではありません。短い登場でも、毛色や大きさ、親猫と一緒にいる姿から、新しい家族の様子が伝わってきます。
むしろ、すべてを説明しないからこそ、「この子たちはどんなふうに育つんやろ」と、その先を想像する余地が残るのかもしれません。もちろん、そこから先は映画で確定した出来事ではなく、見る側の想像です。
リリーとの恋が、ジジと話せなくなった原因なの?
リリーとジジの関係を考えるとき、キキがジジの言葉を理解できなくなる展開を思い出す方もいるでしょう。
ただし、「ジジがリリーに恋をしたから、キキと話せなくなった」と、映画の中で原因が説明されているわけではありません。
ジジがリリーと親しくなることと、キキがジジの言葉を理解できなくなることは、物語の中で起こる別々の変化です。関連づけて考察することはできますが、前者が後者を引き起こしたと断定するのは、描写を超えた説明になります。
一つの読み方としては、キキとジジがそれぞれ新しいつながりを持ち、以前と同じ関係ではなくなっていく様子を重ねることができます。キキには街で出会った人たちがいて、ジジにはリリーがいる。それぞれの世界が広がっていくのです。
とはいえ、それを単純に「恋人ができたら相棒は必要なくなる」という話にするのも違うでしょう。エンディングでも、ジジはキキと一緒にいる姿を見せます。
関係の形が変わることと、大切な相手でなくなることは、分けて考えられます。
リリーは、その変化の一部として見ることのできる存在です。ジジの言葉が分からなくなる理由そのものを詳しく考える場合は、キキの変化や終盤の描写も含めた、別のテーマとして扱うほうが整理しやすいでしょう。
リリーと子猫たちが見せる、ジジ自身の暮らし
リリーの登場によって、ジジはキキの相棒であるだけでなく、別の猫と出会い、親しくなり、家族を持つ存在としても描かれます。
物語をキキの側から追っていると、ジジにはいつも隣にいてほしくなるかもしれません。しかし、ジジにも自分の時間や関係があると考えると、リリーとの場面の受け取り方も変わってきます。
これは、親しい相手をどこまで自分と一緒の存在として考えるか、という問いにもつながります。大切だからこそ、同じ場所にいてほしい。でも、その相手にはその相手の暮らしがある。
リリーとの関係を、キキから離れていく寂しさとして見ることもできます。一方で、新しい街がジジにとっても居場所になった、と受け取ることもできるでしょう。どちらか一方だけに決めなくてもよいのではないでしょうか。
そして子猫たちの登場は、その街での暮らしが続いていることを感じさせます。キキが訪れた街は、修行のための通過点であるだけでなく、ジジが家族を持つ場所にもなったのです。
まとめ|リリーは、ジジの世界を広げる白猫
『魔女の宅急便』のリリーは、パン屋の隣に住むマキの飼い猫です。最初はジジから好意的に見られていませんでしたが、次第に親しくなり、エンディングでは二匹の子猫たちが登場します。
子猫は、白い子猫3匹と黒い子猫1匹の計4匹。映画本編では、それぞれの名前は紹介されていません。
リリーはジジの恋の相手であり、ジジにもキキとは別のつながりや暮らしがあることを感じさせる存在です。
いつも一緒にいた相棒にも、新しい居場所ができる。その変化には、少し寂しさを感じる余地もあります。それでも最後の姿を見ると、関係が変わっても、一緒に過ごす日常は続いていくように見えます。
リリーと子猫たちに目を向けると、『魔女の宅急便』はキキのひとり立ちだけでなく、ジジの世界が広がっていく物語としても読めるのではないでしょうか。

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