『ラピュタ』のモデルはどこ?舞台の参考になった場所を紹介

『天空の城ラピュタ』のモデルは、どこにあるのでしょうか。パズーが暮らす鉱山の町や、緑に包まれた城を見ていると、あの景色につながる場所を知りたくなります。

最初に答えると、スタジオジブリが『ラピュタ』で大いに参考にした場所として挙げているのは、イギリスのウェールズ地方です。ただし、映画の舞台全体を、実在する一つの町や城がそのまま再現しているわけではありません。

この記事では、公式に確認できるウェールズとの関係を中心に、鉱山の町や城の風景がどう作品につながるのかを紹介します。「ラピュタみたいな場所」と「制作で参考にした場所」を分けると、モデル探しがもっとおもしろくなります。

※本編の町や建物の描写に触れますが、結末の詳しい解説はしません。

『ラピュタ』のモデルはウェールズ地方|ジブリ公式の説明

スタジオジブリ公式サイトのQ&Aでは、作品の舞台について、実在の場所が舞台といえる作品と、制作で大いに参考にした場所がある作品を分けて紹介しています。

『天空の城ラピュタ』が掲載されているのは、後者です。そこで挙げられているのが、イギリス・ウェールズ地方です。

つまり、「ラピュタの舞台は現実のウェールズである」と断定するより、架空の世界を作る際に、ウェールズの風景が大きな参考になったと説明するのが正確です。

ウェールズは、イギリスを構成する地域の一つで、グレートブリテン島の西側にあります。『ラピュタ』との関係では、炭鉱のある谷や町並み、歴史ある城などが注目されます。

モデルという言葉から、一つの建物をそのまま描いたように想像しがちですが、映画の風景作りには、土地の形、建物の並び、空気感など、さまざまな参考の仕方があります。

ジブリも公式Q&Aで、複数の地域を部分的に取り入れた作品や、完全な創作による場面があると説明しています。現地に行けば映画とまったく同じ景色が見つかる、という約束ではないんですよね。

パズーの町とつながるのは、ウェールズの鉱山の谷

ウェールズとの関係を感じ取りやすいのが、パズーの暮らす町です。映画の序盤には、斜面に建つ家々、鉱山の設備、線路、深い谷などが登場します。

パズーはその町で働き、家で暮らし、朝にはトランペットを吹く。冒険が始まる前から、土地と生活が結びついていることが分かります。

ウェールズ政府の公式情報サイト「Wales.com」は、映画に描かれる丘の斜面に沿った家々について、南ウェールズの鉱山の谷で見た風景がもとになっていると紹介しています。

この情報から見ると、参考になったのは鉱山の入口や機械だけではありません。谷の地形に沿って町ができ、そこに人が暮らしている風景そのものが、作品につながっています。

空の冒険を支えているのは、地上で働く人たちの暮らし

『ラピュタ』といえば、空を飛ぶ城や飛行石が印象的です。それでも、物語の出発点は、パズーが仕事をしている鉱山の町です。

仕事の設備があり、食べ物を買う場所があり、近所の人がいる。そんな具体的な暮らしが描かれることで、空から少女が降りてくる出来事の不思議さが際立ちます。

最初からすべてが魔法の世界なら、飛行石も当たり前のものに見えるかもしれません。ところが、パズーの周囲には、汗をかいて働き、機械を動かす日常があります。

現実の暮らしを感じられる町があるからこそ、その先に広がる空の世界が遠く、魅力的に見える。これは、映画の描写から考えられるウェールズの風景の役割です。

モデルを探すときも、城だけを見比べるより、まずパズーの町に目を向けると、作品と実際の土地とのつながりが見えてきます。

ウェールズの城も参考に|公式サイトが紹介する3つの城

鉱山の風景に加えて、Wales.comは、宮崎駿監督が見学した城として、次の3か所を紹介しています。

  • ケアフィリ城
  • カーナーヴォン城
  • ポウィス城

同サイトでは、これらの中世の建築が『天空の城ラピュタ』の城のデザインに取り入れられたと説明しています。

ただし、この説明だけから「この城がラピュタ城の唯一のモデル」「この塔が映画のあの塔」と、一対一で結びつけることはできません。

ここは、ジブリ公式が地域として挙げているウェールズと、ウェールズ側の公式サイトが具体的に紹介している城という、情報の範囲を押さえておくと分かりやすいでしょう。

映画には、要塞の石造りと庭園の緑という違う表情がある

『ラピュタ』に登場する建物は、すべて同じ雰囲気ではありません。軍の要塞には、厚い壁や閉ざされた空間があり、ラピュタの庭園には、石の建造物と草木が共存しています。

同じ石造りでも、一方は人を閉じ込める場所に見え、もう一方は長い時間の中で自然に包まれた場所に見える。その違いが、場面の印象を変えています。

実在する城を見比べるときも、輪郭だけでなく、壁の重さ、庭の広がり、建物と植物の位置関係に目を向けると、映画を思い出す手がかりになります。

「この形、似てるな」と感じる楽しさはあります。ただ、その感覚と、制作資料で確認できるモデルの話は、分けておきたいところです。

では、ウェールズ以外で「ラピュタのような場所」と紹介される遺跡や島は、どう受け取ればよいのでしょうか。次は、制作の参考地との違いを整理しながら見ていきます。

友ヶ島は『ラピュタ』のモデル?緑に包まれた砲台跡との共通点

日本で『ラピュタ』を思わせる景色として紹介されている場所の一つが、和歌山県の友ヶ島です。

和歌山県公式観光サイトでは、自然豊かな風景とレンガ造りの廃墟が点在する島として紹介されています。同サイトの特集記事でも、「ラピュタの島」という呼び名が使われています。

友ヶ島は、地ノ島・沖ノ島・神島・虎島の総称です。なかでも沖ノ島には、かつての砲台跡が残っています。

古いレンガの建造物と、その周囲に広がる緑。この組み合わせは、人工物が自然に包まれたラピュタの風景を連想させます。

ただし、「ラピュタの島」と観光案内で呼ばれていることは、映画制作のモデルだったことを意味しません。今回確認した公式資料では、友ヶ島を制作上の参考地とする説明は確認できませんでした。

友ヶ島は、映画の世界観を重ねて楽しめる場所として捉えるとよさそうです。緑の中に残る建物を見て、「人がいなくなった後も、場所の時間は続いていくんやな」と考える。その感覚は、ラピュタの庭園を見るときの印象にもつながります。

竹田城跡の「天空の城」と、映画のラピュタは同じ意味?

兵庫県朝来市の竹田城跡も、空に浮かぶ城を思わせる景色がある場所です。

日本政府観光局の紹介ページでは、雲海によって城跡が浮かんで見える景観が紹介されています。山の上の石垣が雲に囲まれると、地上とのつながりが隠れ、空中にあるように見えるのです。

映画のラピュタは、飛行石の力によって浮かぶ架空の城です。一方、竹田城跡は実際の山の上にあり、雲海が独特の見え方を生み出しています。

そのため、「天空の城」という表現が似ていても、竹田城跡が『ラピュタ』の制作モデルだったと結びつける根拠にはなりません。

ここで楽しめるのは、映画と同じ仕組みではなく、現実の風景が一瞬だけ空想に近づいて見えることです。地上にあると分かっていても、雲に包まれた姿から物語を想像してしまう。そういう景色の力はありますよね。

『ラピュタ』の参考地と、似ている場所を整理

ここまで紹介した場所は、作品との関係がそれぞれ異なります。混同しないように整理すると、次のようになります。

場所確認できる作品との関係
イギリス・ウェールズ地方ジブリ公式が、大いに参考にした場所として紹介
ケアフィリ城・カーナーヴォン城・ポウィス城ウェールズ政府公式サイトが、城のデザインへの影響を紹介
和歌山県・友ヶ島県の公式観光案内でも「ラピュタの島」と紹介。制作の参考地とは確認できない
兵庫県・竹田城跡雲海によって浮かんで見える城跡。制作の参考地とは確認できない

モデルという言葉で探すと、こうした違う関係の場所が一緒に出てきます。だからこそ、どこが似ているのかに加えて、誰がどのような関係を説明しているのかを見ると、情報を整理しやすくなります。

制作の参考地を知りたいなら、まずウェールズ。作品の雰囲気を現実の景色に重ねたいなら、友ヶ島などにも楽しみ方がある。目的によって、注目する場所が変わります。

空に浮かぶ島の発想は『ガリヴァー旅行記』ともつながる

場所のモデルと、物語の発想のもとになったものも分けて考える必要があります。

ディズニー公式の作品紹介では、『ガリヴァー旅行記』に登場する空中の浮島ラピュタに触れています。ラピュタという名前や、空に浮かぶ島という発想には、文学とのつながりがあります。

ただし、『天空の城ラピュタ』は、『ガリヴァー旅行記』の物語をそのまま映像化した作品ではありません。パズーとシータの冒険や飛行石をめぐる展開まで、同じ話として扱うことはできません。

ウェールズは風景作りの参考地。『ガリヴァー旅行記』は、名前や空中の島という発想につながる作品。この二つを分けると、「ラピュタのモデルはどこ?」という疑問にも、より具体的に答えられます。

モデルを知ると、町や庭園の見え方が変わる

モデルの話を知ってから本編を振り返ると、空に浮かぶ城だけでなく、パズーの町にも目が向きます。

斜面に並ぶ家、仕事の設備、谷を渡る線路。そこには、人が働きながら暮らすための風景があります。一方、ラピュタの庭園では、古い建造物と草木が重なり、地上の町とは違う時間が流れているように見えます。

『ラピュタ』の景色のおもしろさは、現実を感じる細部と、現実にはない空想が一緒にあることです。

実在の町や城と比べながら見ると、似ている部分だけでなく、映画ならではの組み合わせにも気づけます。「本物はどこか」を探すだけでなく、「実際の風景が、どう冒険の世界に変わったのか」を考えるのもおもしろいんちゃうかな。

まとめ|『ラピュタ』が大いに参考にしたのはウェールズ地方

『天空の城ラピュタ』の制作で大いに参考にした場所として、スタジオジブリが公式に挙げているのは、イギリスのウェールズ地方です。南ウェールズの鉱山の谷や、同地方の歴史ある城とのつながりも、ウェールズ政府の公式サイトで紹介されています。

友ヶ島や竹田城跡には、ラピュタを思わせる風景があります。ただし、見た目の共通点や観光上の呼び名と、制作の参考地としての裏づけは別です。

映画の景色とまったく同じ場所を一つに決めるより、町の地形、城の建築、自然と人工物の重なりに目を向ける。そのほうが、『ラピュタ』の世界がどう形になっているのかを楽しめます。

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