『風立ちぬ』英語タイトルは?「The Wind Rises」と日本語題の関係

『風立ちぬ』の英語タイトルは何なのでしょうか。また、その英語を読むと、日本語の「立ちぬ」がどんな意味なのかも見えてきます。

映画『風立ちぬ』の公式英語タイトルは「The Wind Rises」です。「風が起こる」「風が吹き始める」といった意味で、日本語題も、風が吹かないという意味ではありません。

スタジオジブリ公式の作品ページには、日本語タイトルと並んで「The Wind Rises」と掲載されています。海外の配給会社GKIDSも、このタイトルを使用しています。

この記事では、英語タイトルの表記と意味、日本語の「ぬ」の読み方、そしてタイトルの背景にある文学との関係を整理します。結末のネタバレには触れません。

『風立ちぬ』の公式英語タイトルは「The Wind Rises」

公式の表記は、The Wind Risesです。単語の頭文字を大文字にした、この形で覚えておくとよいでしょう。

スタジオジブリ公式サイトの『風立ちぬ』作品ページで確認できます。日本映画データベース「JFDB」の英語版でも、同じ名称が使われています。

参考:スタジオジブリ公式:『風立ちぬ/The Wind Rises』/JFDB英語版:The Wind Rises

英語で映画の情報を探すときも、この表記が基本になります。監督名などを添えて検索する場合にも、日本語を自分で訳すより、公式タイトルを使うほうが目的の作品を探しやすくなります。

「The Wind Rises」はどういう意味?

タイトルを構成する単語は、次のように整理できます。

単語このタイトルでの働き・意味
The名詞の前に置かれる定冠詞。
Wind風。
Rises動詞riseの形。ここでは風が起こる、強まるといった意味。

riseには「上がる」「昇る」という意味がありますが、何が主語になるかによって、自然な日本語は変わります。

このタイトルでは、風が上空へ移動するという説明より、「風が起こる」「風が吹き始める」と受け取ると分かりやすくなります。

また、windはここでは「風」を意味する名詞で、読み方の目安は「ウィンド」です。タイトル全体なら「ザ・ウィンド・ライジズ」に近い音になります。

日本語題の意味がつかみにくくても、英語の「風が起こる」という表現を手がかりにすると、動きのある情景が浮かんできます。

日本語の「風立ちぬ」は「風が立たない」ではない

日本語題で戸惑いやすいのが、最後の「ぬ」です。「知らぬ」「分からぬ」のような言い方を思い浮かべると、打ち消しに見えるかもしれません。

しかし、「風立ちぬ」の「ぬ」は、完了を表す文語の助動詞です。「風が立った」「風が起こった」という方向の意味になります。

打ち消しなら「立たぬ」という形になります。「立ちぬ」と「立たぬ」は、一文字の違いでも文法上の組み立てが異なるのです。

「風立ちぬ」を現代語の感覚だけで読もうとすると少し難しいですが、英語タイトルが肯定の「The Wind Rises」になっていることも、意味を理解する助けになります。

ただし、日本語の完了表現と、英語の現在形を、一対一で同じ文法として扱う必要はありません。同じ情景を、それぞれの言語のタイトルとして表していると考えると整理しやすいでしょう。

タイトルの背景には、堀辰雄とヴァレリーの詩がある

映画のタイトルは、堀辰雄の小説『風立ちぬ』に由来します。この関係は、スタジオジブリの公式記事で説明されています。

さらに、その小説に掲げられた「風立ちぬ、いざ生きめやも」は、フランスの詩人ポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」の一節を堀辰雄が訳した言葉です。

参考:スタジオジブリ公式:「野中くん発 ジブリだより」2013年7月号/国立国会図書館レファレンス協同データベース:堀辰雄によるヴァレリーの詩句の翻訳について

ここで、三つの関係を区別しておきたいところです。

  • 映画の日本語タイトルは『風立ちぬ』。
  • 映画の公式英語タイトルは「The Wind Rises」。
  • タイトルの文学的な背景には、堀辰雄の小説とヴァレリーの詩句がある。

「The Wind Rises」は、「風立ちぬ、いざ生きめやも」という一節全体を訳した長い文章ではありません。また、映画のキャッチコピー「生きねば。」の英訳でもありません。

英語タイトル、日本語題の由来、キャッチコピーは関連していても、それぞれ別の言葉です。この区別がつくと、タイトルを調べたときに出てくる情報を混同せずに読めます。

英語で読むと、タイトルの動きが見えてくる

ここからは言葉の受け取り方についての考察です。

「風立ちぬ」という日本語には、文語ならではの余韻があります。一方、「The Wind Rises」と読むと、風が起こり、周囲の空気が動き始める情景をつかみやすくなるのではないでしょうか。

飛行機の物語という面からは、風は飛ぶことに関わるものです。人生の物語として読めば、穏やかだった状況が動き出すことや、自分では止められない変化を重ねることもできます。

ただし、これを監督が定めた唯一の意味として断定することはできません。あくまで、タイトルから広がる読み方です。

日本語だけでは難しく感じた言葉が、英語を挟むと少し分かる。そこから日本語題へ戻ると、今度は「立ちぬ」という響きにも動きが感じられる。二つのタイトルを並べる面白さは、そんなところにもあるんちゃうかなと思います。

まとめ|「The Wind Rises」は、風が起こる情景を表す公式タイトル

『風立ちぬ』の公式英語タイトルは「The Wind Rises」です。意味は「風が起こる」「風が吹き始める」と捉えると分かりやすくなります。

日本語題の「ぬ」は打ち消しではなく完了の表現です。「風が立たない」ではなく、「風が立った」という意味になります。

タイトルの背景には、堀辰雄の小説とヴァレリーの詩があります。ただし、英語題そのものは詩句全体や「生きねば。」の翻訳ではありません。

公式の表記を知ったうえで日本語と読み比べると、短いタイトルの中にある、風が動き始める情景を受け取りやすくなるでしょう。

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